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漱石枕流

[2023.09.25]

 少し前になりますが、夏の初めに川遊びをしてきました。

 私も久々に川の中に入って泳いだり(と言うほど深くもないのですが)、ピストン釣り(昔の表現で言うあんま釣りのことです)でハヤを釣ったりと楽しみました。

 河原は水に入らずにいると倒れそうなほど暑く、どうにか効率的に涼をとる方法はないものかと考え、ふと川の流れの中で寝てみることにしました。川の中のちょうど寝てみて顔が出るくらいの深さのところを探し、体を横たえてみました。すると川の流れによって身体中の熱がどんどん奪われ、味わったことのない快適さでした。これならば熱中症とは無縁だと。

 そしてふと頭に思い浮かんだのが漱石枕流という言葉です。

 この言葉は、昔中国で、ある人が友人に「石に枕し流れに漱ぐ」ような隠遁生活をしたいものだというところを「石に漱ぎ流れに枕す」と間違って言ってしまった。その間違いを友人に指摘されると、そのある人は間違いとは認めず「石に漱ぐのは歯を磨くためで、流れに枕するのは耳を洗うためだ」と言い張ったという故事です。夏目漱石の名前の由来とも言われています。負け惜しみが強く、強情、こじつけがうまい感じでしょうか。

 川の中に寝転んでいるまさにその時、私は負け惜しみではなく本当の意味で流れに枕しているのではないかと思ったのです。やろうと思えばできるじゃないか、また快適じゃないかと。ちなみに石にくちすすぐは試しませんでした。歯のエナメル質が削れてしまいそうな気がしますよね。

 とても良かった枕流体験でしたが、遮るもののない顔の部分はジリジリと直射日光に焼かれて強制終了になるというオチがつきました。

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