フッ素(フッ化物)塗布について
フッ素(フッ化物)のむし歯予防効果
むし歯予防にフッ素(フッ化物)塗布が有効であることは、歴史的、また科学文献からも認められています。
日本でのフッ素(フッ化物)使用状況
日本では現在、母子健康手帳の1歳半のところを見てみると、フッ素(フッ化物)の含まれている歯磨剤などを使っているかどうかの項目があります。
日本ではほとんどの歯磨剤、歯磨き後に塗布するジェルにフッ素(フッ化物)が含まれています。
こども用、成人用で濃度や使い方が異なるものの、フッ素(フッ化物)が含まれていることは概ね共通しています。
歯磨き後など水で完全にゆすいでしまうとフッ素(フッ化物)もおおかた流れてしまうので注意が必要です。当院ではこのゆすぎ方についても指導いたします。
また就寝前にフッ素(フッ化物)の洗口剤で口をゆすいでから寝るというのも非常に簡単で効果的なフッ素応用法の一つです。
(年代別、生活スタイル別のフッ化物の使い方についてはご希望であれば直接ご相談ください)
低濃度フッ化物局所応用と高濃度フッ化物局所応用
フッ素(フッ化物)の適応のさせ方には2通りあり、上で述べた普段のブラッシングなどで使う方法は低濃度のものです(低濃度フッ化物局所応用などと表現されます)
もう一つは高濃度のもので、毎日使う歯磨剤やジェルに含まれているフッ素濃度がおおよそ900〜1450ppmであるのに対し9000ppmのものを歯に塗布します(高濃度フッ化物局所応用)。この方法はフッ素が高濃度のため歯科医院でしかできません。
この2つの方法がどのように違うのかをご説明いたします。
低濃度フッ化物局所応用
毎食後〜毎晩のペースでフッ素(フッ化物)を口の中に補充します(歯磨剤や洗口剤使用時)。
歯磨剤や洗口液に含まれているフッ素(フッ化物)が口の中に行き渡り、使い方が適切であれば、再石灰化、むし歯菌の出す酸を抑制し、むし歯予防効果を発揮します。
ここでひとつ覚えていただきたいのは、むし歯とは歯に開いた穴ではなく、むし歯からカルシウムが出ていってしまう環境のことだということです。これに対し先程でてきた再石灰化とは、歯にカルシウムが取り込まれる環境のことです。1日を通してもむし歯の状況と再石灰化の状況は目まぐるしく変化します。1日トータルで、むし歯より再石灰化の状態が優勢であれば、単純に考えて歯に穴はあかないということになります。毎日のフッ化物洗口はこの再石灰化の時間を長くするという効果があります。就寝前に行えば、いつもなら寝ているだけの睡眠時間が再石灰化の時間、つまりむし歯予防の時間に使えます。
歯の表面にフッ素(フッ化物)と結びついたむし歯の出す酸に強い歯質を作る効果はほとんどないと言えます。
高濃度フッ化物局所応用
むし歯のリスクによりますが数ヶ月程度の頻度で歯の表面に高濃度のフッ素を塗布します。高濃度フッ化物の作用により歯の表面がフッ素と結びついたフルオロアパタイトというむし歯の酸に強い歯質になります。
フルオロアパタイトはごく表層に限られますから、毎日の食事やブラッシングで徐々に消失します。そのため、継続的な塗布が必要です。
こどもの生えたての奥歯、こども大人問わずのリスクの高い永久歯などにおすすめできます。
むし歯予防のためのフッ化物の使い方は
毎日のブラッシング時の歯磨剤使用、フッ化物洗口剤使用
定期的な歯科医院での高濃度フッ化物塗布
この2つのを行っていくことが重要です。