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避難用持ち出しバッグに歯ブラシ(口腔ケア用品)を

[2021.12.06]

最近、日本各地で地震が多いように感じます(もともと日本は地震が多い国だとは思いますが)。
そうなると備えが重要とあらためて思いますよね。私は地震が来るたびにあれも準備しよう、これも準備しようと思いながらいつの間にか忘れてしまい、次の地震で思い出すということもよくあります。

当院は日本糖尿病協会の登録歯科医になっているということもあり、協会から定期的にとても勉強になる冊子が送られてきます(糖尿病と歯周病(しそうのうろう)との関係が深いことはすでに各分野で指摘されていることで、特に2型糖尿病治療において口腔ケアをきっちりすることは不可欠となっています。その理由で当院は登録歯科医になるべく申請をしました。)。

送られてきた冊子の中に「大規模災害時の口腔ケアの重要性」(DM ensemble No.3 Vol.10より)という記事がありました。

皆様にも知っておいていただきたい内容であるので噛み砕いてご説明したいと思います(もし私が噛み砕いた内容に不備があればご指摘ください)。

大規模災害時には避難生活を余儀なくされることもあります。避難生活ではただでさえストレスが非常に強い状況で交感神経優位になり唾液の量も減り、またトイレの環境が整っていないと水分の摂取量も減らす傾向にあるので自然と口の中の汚れが洗い流される機会も減ります。そもそも心労で口腔ケアになかなか気が回らないかもしれません(東日本大震災では被災後1周間以内に歯を磨きたいと思った人は60%しかいなかったそうです)。最低でも数日は口腔ケア製品や飲み水以外の口腔ケアの分の水を確保するのも難しいでしょう。

そうなるとお口の中で細菌が繁殖し不潔になり、歯ぐきの腫れなどで困る方々も出てきます。お口の中が不潔な環境が続けば、糖尿病の状態に影響が出てくるケースもあるかもしれません。上述の理由で唾液が少なくなることにより、うまく飲み込むことができず誤嚥(飲み込んだあと咳き込んでしまうような飲みこみかたです)してしまうケースも増えてくるでしょう。また入れ歯をお使いの方が入れ歯をなくしてしまいうまく噛めず、さらに不潔な口腔内で、十分な水もなくお食事をする環境は誤嚥を起こしやすく、そこから肺炎に繋がりやすい状態であるとも言えます。

糖尿病を患っているかたでなくとも、お口の中に細菌が増えることにより引き起こす炎症や、出血などから口腔内細菌が血流に入り、動脈硬化や心筋梗塞をはじめ様々な全身疾患にも影響を与えることが近年指摘されています(決して糖尿病を患っている方やご年配の方だけの話ではなく、さらに大規模災害時の避難生活だけの話でもないのです。みなさんに非常に身近な話題であると言えます)。

そこで我々が具体的に今できることはタイトルにもあります通り、避難用持ち出しバッグに口腔ケア製品を入れることです。使い慣れた歯ブラシ(避難時は歯ぐきがはれる状況になりやすいので普段お使いのものよりやわらかいもの)や歯間ブラシ、義歯のケア製品や義歯を入れるタッパーなどのケース、安定剤、洗口液などです。
もちろん口腔ケア製品以外にも用意するものがたくさんありスペースも限られているでしょうから最低限となるとは思いますが、歯ブラシを何本か持っていくだけでも違うと思います。ぜひ、この記事をお読みになったら避難持ち出し用バッグをチェックしていただくことをおすすめいたします。

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