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池袋演芸場にて

[2022.07.21]

先日、池袋演芸場に行く機会がありました。
何をやっている場所なのかご存知でない方もいらっしゃると思います。池袋演芸場は寄席です。寄席とは何人も落語家さんが出てきて、落語をやってくれるところです。また漫談やマジック、太神楽(だいかぐら)や紙切りなどもあります。はじめの一歩がでにくい場所ですが、慣れると大変楽しい場所です。
赤羽近辺にお住まいのかたであれば池袋は一番近くて利用しやすい場所なのではないでしょうか。ちなみにザ・寄席という場所は新宿末廣亭、上野方面であれば鈴本が有名です。


さて、その日出てきた落語家さんのひとりが「加賀の千代」という話をやっていました。この話には「朝顔に つるべ取られて もらい水」という句が出てきます(話の内容そのものが気になる方は調べてみて下さい)。
「井戸に水を汲みに行ったらつるべにつるが絡まって朝顔が咲いていた。せっかくなので朝顔はそのままにして他の場所に水をもらいにいった」この句の解釈はこのような感じでしょうか。朝顔を愛でる気持ちが伝わってきます。
加賀の千代を聴きながらこの句を耳にして、ふと、私の好きな橘曙覧という歌人の「たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見る時」という歌を思い出しました。

朝顔につるべを取られてしまっていると気づいたときは、昨日までなかった花が咲いているわと愛でたときではなかったでしょうか(全く私の想像です。すみません。専門的に俳句や和歌を勉強したことはありません)。ちょうど夏の時期なのでこんな想像をしたのかもしれません。

橘曙覧は他にも素敵な歌を詠んでいます。

中でも私が好きなのは
「楽しみは  まれに魚煮て 兒等皆が うましうましと いひて食ふ時」です。
たまのごちそうを前に、子どもたちが「おいしい おいしい」と食べている。そんな子どもたちをみて微笑んでいる両親や祖父母、家族の情景が浮かんできます。
これは十分、令和でも通じると思います。

例えばサイゼリヤで近くのテーブルに家族連れがいて、
子どもたちがでっかいトリフアイスクリームを「うまいうまい」とたべている。そしてそれを嬉しそうに見守る親や祖父母、そのような場面を見ると私はさきほどの歌を思い出します。自分に関係のない家族でもつい笑顔になってしまうのではないでしょうか。

また、何も家族がいなければ楽しみが成立しないわけでもありません、当然のことながら。
「たのしみは 珍しき書(ふみ) 人にかり 始め一ひら 広げたる時 」
機会があれば読みたいと思った珍しい本を借りることができて、さあ読むぞというときはこの上なく楽しいものですよね。

お笑いでは禁断の「あるあるネタ」のような小ネタの羅列ですみません。また相変わらず歯に関係なくてすみません。ではまた次回。

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