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むし歯が深いときの治療について

[2020.02.06]

むし歯が深いときの治療(Vital Pulp Therapy バイタルパルプセラピー 歯髄保存療法 生活歯髄断髄法)の話をしたいと思います。

患者さんの方から「むし歯があるみたいなんです」とお話をいただいた時には、むし歯の大きさは概ねある程度の大きさになっていると考えてよいと思います。穴が開いて物が挟まるようになったとか、冷たいもの甘いものがしみるようになったということをきっかけに、むし歯かもと思ったということが多いようです。むし歯の初めの段階ではそのような症状はほとんどないことが多いです。

むし歯の診断のときに考えること

診断の時に私が考えるのは(むし歯以外の原因はここではおいておきます)、むし歯の物理的な大きさと、歯髄(歯の神経)への影響の程度です。
物理的な大きさは、むし歯をきれいにした後、つめもので終われるのか、かぶせなければ強度が保てないのかなどに関わってきます。
歯髄への影響は、神経が残せるのかどうかに関わってきます。大きさに関わる部分については前回の記事「つめもの と かぶせもの の違い」をお読みください。

神経への影響の判断

神経への影響の判断については、まずどのように症状を感じるのかをヒントにします。
いつからどのように痛むのか、例えば冷たいもの温かいもの、甘いものを食べる時にしみるのか、歯ブラシや食事をするときは問題ないのかどうか。何もしていないときに勝手に痛み始めるのかどうか、鋭い痛みなのか、鈍く長く続く痛みなのかどうか、などです。

今、症状を聞いてと書いておいてなんなのですが、実際の歯の神経(歯髄)の状態と症状の状態は必ずしも深く関係しているわけではありません。あくまでヒントの一つということにとどまります。

むし歯の穴が神経へつながっているのかどうか

そこから無菌的な状況を作り(ラバーダム等の使用)むし歯の除去をします。

むし歯の除去をして、神経まで通じていなければそのままつめものをして経過を見ていくこともあります。神経まで通じていないとは言っても、顕微鏡で見てそのように見えるだけで実際もっと小さい範囲で、すでに神経までむし歯の穴がつながってしまっているかもしれないからです。その後特に問題がなければ神経を保存したまま、かぶせものやつめものをします。

むし歯を除去して神経の部屋までつながってしまった場合は、露出している神経をよく観察します。すでに壊死が始まっているような状態なのか、壊死まで行かなくとも異常な状態なのか、出血は止まるのかどうかなどです。異常な状態だと判断すれば部分的に神経を除去(部分断髄)し、MTAと呼ばれる生態親和性の高いセメントで神経に直接触れる部分を封鎖します(その時の神経の状態によっては、やはりこれは神経を全て取らなければならないという判断になることもあります)。そして適切に蓋をした後、経過を見ます。神経の状態が落ち着くようであれば最終的な修復をします。症状の出方によってはその後、神経の治療になることもあります。これもまた可能性としては想定しておかなくてはなりません。

このように、痛みがあればすぐに神経を取らなければいけないのではなく、手を尽くすことにより神経が保存できる場合もあります。もちろんそのときの患者さんの状況(極端な例を挙げれば次の日が会社の面接であったり、海外旅行に行ったり、その他大事なイベントがあるなど)で、神経が保存できるかどうか際どい場合には、話し合いの上、神経を除去する処置を選択することもあります。

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