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名もなき家事

[2025.06.13]

 名もなき家事という言葉があります。定義は「名前を付けるほどではないけれど、生活する上で欠かせない細々とした作業のこと」のようです。もちろんこれは誰かがやらなければなりません。多くの場合、その作業は夫婦で言うと女性側が担っている、男性は(ほとんど)何もしないという文脈で語られることが多いと思います。

 我が家においても(恥ずかしながら)これはほとんどそのまま当てはまることで、私の想像が及ぶ範囲で我が家の名もなき家事をパッと思いついたものから挙げてみますと

・冷蔵庫のなくなったお茶類(ティーバッグで作る)を補充

・炊飯器の内蓋(釜ではない)の洗浄

・食洗機にある洗い終わった食器類をもとに戻す

・キッチンの排水トラップ(および三角コーナー)の掃除 

・畳んである洗濯物類を元の場所に戻す

・飲み終わったコップを(こまめに)洗う

・食後に食卓を布巾で拭く

このようになりました(ほんの一部だと思いますが)。

 どこかの旦那さんは、一口分しか残っていない麦茶の容器を冷蔵庫に戻すなとか、冷蔵庫から飲み物を出すたびに新しいコップを使うなとか、靴下はちゃんと裏返してから洗濯カゴに入れろとか、言われてしまっているかもしれません(、、、、、、、、流石にここまでは今どきないですかね)

 名もなき家事の辛いところの一つに「報われにくい」ということがあると思います。時間も労力もかかるのに目立たないのでわかりにくい、目につきにくいので感謝もされず「報われにくい」ということです。さて当院の仕事で考えますと、いわゆる私がしているような患者さんの歯を直接治療することは患者さんから直接感謝の言葉をいただきやすいので「報われやすい」と言えるでしょう(私自身もすっかり調子に乗ります)。

 しかし、その治療をするために必要な道具を、あらかじめ使う順番に出しておいたり、いつでもその道具が使えるように洗浄滅菌し紙袋にパッキングしたものを取りやすいように都度配置してくれること、そもそもの在庫の補充がベストなタイミングになるように気にしておいてくれることや、また、受付で当日に使うカルテをあらかじめ出して用意しておくこと、溜まりすぎた書類を少しずつ処分することはいかがでしょうか。正直言って「わかりにくい」ですし「報われにくい」ですよね。

 恥ずかしながらこれらの仕事を私はやっておりません。衛生士や受付スタッフ、消毒スタッフがやってくれています。これらが当院での「名もなき家事」のほんの一部です。この「名もなき家事」が当院での治療の強力な下支えとなっています。

 かくいう私も一瞬でも油断すると、うまくいった治療結果がつい自分のみの手柄であると誤解してしまいそうになります(「ずいぶん休みの日に勉強会に出ていたからなー。当然の結果だ」みたいな感じです)。しかし当たり前なのですが当院での「名もなき家事」なくして患者さんへのハイクオリティな治療は決してできません。

 折に触れ「ありがとうございます」を感謝の気持ちを表しているつもりですが、これもなんというか形骸化している部分も否めません。業界用語の「お疲れ様でーす」に近いニュアンスになっているような気もします。やはり「ありがとうございます」は目的語がなくてはなりません。ただただありがとうだなんて5万年くらい早い感じがします。

 また、よくある言い訳として、ちゃんと心の中では感謝しているけれど、面と向かって言うのはなんか気恥ずかしいよねと言うのがありますが、私もまさにそれです。当院のスタッフたちには日々感謝しております。「いつもありがとうございます」スタッフがこれを読んでくれて私がお礼を言ったことにはなりませんかね(なりません笑 でも、こうして文章にしたからには、明日からもう一歩ちゃんと感謝を言葉にしようと思っています。)。

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