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むし歯の進行止め(サホライド)について

[2026.02.07]

お口の中の病気(むし歯や歯周病)を予防するために重要なことの一つとして「プラーク(歯垢)を取ること」が挙げられます。

プラークとは、歯の表面につく「ぬめり汚れ」のことです。

汚れというと、ただの食べカスのようなイメージがありますが、そうではなく無数の細菌たちの集落です。

大雑把な表現になりますが、このプラークが歯につけば「むし歯」の原因になり、歯と歯茎の境目にあれば「歯周病」の原因になります。

だからこそ私たちは、毎日せっせと歯ブラシやフロスでこれを取り除こうと頑張っているわけです。

しかし、現実には様々な理由で「適切な歯磨きや適切な治療」が難しいことがあります。

・年齢が小さく、じっと治療を受けるのが難しいお子さん

・手が不自由で、細かなブラシ操作が難しい方

・お口の奥など、どうしてもブラシが届かない場所がある方

また、磨けていても、加齢やお薬の影響で唾液が減り、むし歯のリスクが急激に高まってしまうこともあります。

「磨けないから仕方ない」と諦める前に、当院では「サホライド」というお薬をご提案することがあります。これは大変頼りになるお薬です。

このサホライドという薬は「お歯黒(おはぐろ)」をヒントに日本で開発されたお薬です。 かつてお歯黒をしていた女性の歯は、むし歯になりにくかったと言われています。その知恵を現代の歯科医療に応用したのがこのお薬です。

主な効果は以下の通りです。

・むし歯の進行を強力に止める(削らずに済みます)

・プラーク(細菌)の繁殖を抑える

・歯がしみるのを防ぐ(知覚過敏止めとしても優秀です)

塗るだけで効果を発揮するため、ドリルで削る必要もありません。麻酔もいりません。「理想的なケアや治療が難しいケース」において、とても頼りになります。

もちろん適切な治療が行えればそれに越したことはないですし、適切なケアができればそれが一番です。

効果は高いのですが、副作用として「塗った部分が黒く着色する」という特徴があります。 そのため、前歯などの目立つ部分には基本的に使用しません。「見た目」と「歯を守る効果」を天秤にかけ、患者さんやご家族と相談しながら、多くの場合、奥歯や見えない部分に限定して使用を決めていきます。

サホライドは、その高い効果と簡便さ(綿球で塗るだけ)から、医療が行き届きにくい地域でも多くの歯を救ってきました。 その実績が認められ、WHO(世界保健機関)の「必須医薬品モデルリスト」にも登録されています。

ちなみに、歯科の分野でこのリストに入っているのは、

フッ化物配合歯磨剤(いつもの歯磨き粉)

グラスアイオノマーセメント(詰め物の材料)

フッ化ジアンミン銀(サホライド等) などです。

見た目は少し黒くなりますが、世界が認めた効果が期待できるお薬です。

最近は特に、上述した「磨けていても、加齢やお薬の影響で唾液が減り、むし歯のリスクが急激に高まってしまう」ケースで使うことがよくあります。ご年配になりますと細かい手の動きが難しくなったり、また視力の低下などにより細かいところが見えなくなるということも重なります。当院では、ご年配の方のメンテナンスには積極的に使用し、急激な根面カリエス(歯の根の部分にできるむし歯のことです。)を予防します。

根面カリエスは条件が揃ってしまうと、お口の中のあちらこちらで進行してしまい、根からむし歯になると神経まですぐに達してしまいます。木こりの人が、木を切る時のように、歯の頭が折れてしまうこともあります。大変気をつけたいむし歯の一つです。

綺麗なかぶせものや、顕微鏡下での精密な治療と比べ、地味ですが大変効果のある薬のご紹介でした。このような薬が私たちの臨床の下支えをしてくれています。

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