「ハミガキ上手PRO」について
「ハミガキ上手PRO」とは
歯みがきに悩んでいる方にとっては「おっ」と目を引くタイトルだと思います。「ハミガキ上手」は、そのまま「はみがきじょうず」と読みます。歯の清掃用品(液体はみがき粉)です。液状で、歯垢(プラーク)を赤色に染める染料が入っています。
容器にはカバの絵が書いてあって子供用に作られていると感じますが、もちろん大人が使っても構いません。むしろ歯磨きに苦手意識があるならば、積極的に使った方がよいと思います。磨かなくてはならないところが目に見えるようになるので歯磨きしやすくなります。
「染色」なので、ブラシがほんのりピンクに染まってしまったり、また洗面台や服が染まってしまわないよう
に少し気を遣う必要はあるのですが、墨汁ほど気を遣う必要は全くありません。
うまく使えば「はみがきじょうず」になれるというものです。
歯を磨く目的
歯を磨くことの目的は、口の中、とりわけ歯の表面についた細菌を除去するためです。歯の表面に繁殖した
細菌を歯科ではプラークと呼んでいます。覚えておいて欲しいのはプラークは単なる食べかすではないということです。
これら細菌がむし歯や歯周病の原因となります。細菌が歯を溶かして歯がしみるようになったり、何もしないで激痛がとか、噛んでいたい、歯ぐきが腫れてうみが出たなどなど引き起こします。いいことは一つもありません。
プラークをどのようにとるか
そして、これらは歯にベタっとくっついているのでうがい程度でとれるものではなく、ブラシでこそげ落とさなくてはなりません。
このために使うのが歯ブラシ(歯間ブラシやデンタルフロス、糸ようじなども含まれます)です。
しかし道具があっても、プラークがどこについているのか、一般の方が見てもなかなかわかりません。
プラークを赤く染めてみて分かるようにするハミガキ上手
歯磨き前に「ハミガキ上手」で口をゆすぐことによりプラークが赤く染まり目で見て分かるようになります。
味はかき氷のイチゴシロップを思い出させる懐かしい味です。
ハミガキ上手の具体的な使い方(お子さんを例に)
今回はお子さんを対象とした使い方をご紹介したいと思います(私が実際にやっているやり方なので完全にメーカー推奨と一致するかどうかはわかりませんが、必要な染め出し効果は発揮されています)。
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まずこの記事を最後まで読んで「はみがきじょうず」を使ってみようかなと思ったら、お子さんに説明する前に是非、一度保護者の方ご自身で、この記事のやり方に沿って使ってみることを強くお勧めします。お子さんに使うときの声かけなどのシミュレーションになると思います。
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お子さんに、歯を溶かしてしまったり、歯ぐきを腫らしてしまう原因が、目に見えない細菌だという話をします。
「細菌は甘いものや食べかすが大好きで、これらをエサにして歯をとかしてしまいます。そこで歯ブラシでやっつけたいんだけど、どこについているか分かるかな?見えないよね。でもそれが、なんとこの薬を使うと見えるようになるんだ・・・」と、導入方法はなんでもよいのですが、教えてあげてください。
最近ではむし歯について説明する絵本等たくさん出版されています。これらを使ってもよいでしょう。
お子さんで歯周病についてリスクが高い場合もありますが、ここでは簡単に「むし歯」でいいと思います。
(どこまで話すかはお子さんの年齢にもよるとは思います。また一度話して終わりにするよりかは、たまに話すようにすると歯ブラシへの理解も深まり、またモチベーションが持続するかと思います。)
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次に洗面台で「この薬は飲み物ではなく、ゆすいで吐き出すものです。おいしい味がするかもしれないけれど飲んではいけません」と伝えてください。量はお子さんであれば3mlくらいでよいと思います。大人は5ml程度です。付属の計量カップを使ってください。
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これを10回程度お口の中でクチュクチュして吐き出します。
「ここでとっても気をつけて欲しいのが洗面台から離れた高いところから、バッと吐き出すのではなくて、しっかりお辞儀をしたままゆっくり優しく吐き出してね」と伝えます。ここで高いところからブワッと吐き出してしまうと赤い染色材が洗面台に散らばってしまい、保護者の方がうわー、となります。もちろん派手に吐き出してしまっても赤くなったところはすぐに水で流すなりすれば染色が取れないことはありません。
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クチュクチュうがいをして液を吐き出したら、口の周りや口の中の残っている余分な染色液を流すため、口の周りを水で洗って、水で再度クチュクチュうがいをさせてください。そして洗面台に吐き出された赤い液をサッと流してください。
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口の中の観察に移ります。
鏡を見ながら赤く染まっているところをよーく見せてください。「ここにバイキンがいるのが見えるね」などと説明してください。
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ひととおり観察したら、本人のやる気があれば、時間を決めて(1分程度)子どものやりたいように磨かせてください。
(時間を決めておくのは、お子さんの好きなようにとするとキリがなくなる可能性があるからです。)
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「しっかりみがけた?」『うん』となったら再度口の中の観察をします。基本的に褒めてあげてください「とてもがんばりました。」。
そして「ここの赤いところが今度の目標かな。どうやったら磨けるようになるだろう」などと会話してもいいかもしれません(時間があればの話ですが)たいてい寝る前で、てんやわんやになっている時だと思いますので、ここは本人に赤いところが残っているのを確認させるだけでもいいと思います。
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保護者の方が仕上げ磨きをします。個人的な意見としては立たせてよりも、寝かせて仕上げ磨きをした方が、保護者の方にもしっかりと染色されているところが分かると思います。
上顎の歯を見るときには首の下に枕や、二つにおった座布団をおいて「上を向いて」と声をかけると、首の下に枕がありますから首をもっとそらすことができて保護者の方から上顎の歯がとてもみやすくなります。これは仕上げ磨きの時に非常に役に立つテクニックです。下顎の歯はいつもの寝る姿勢でいいと思います。この時必ず横にティッシュを置いておくとよいです。磨いていると唾液が出てきますから、あらかじめティッシュを2、3枚横に置いておいて、唾液はティッシュに染み込ませて拭き取ってください。(いちいち「唾がたまった」と洗面台に行かれては、保護者の方のイライラが募ります笑。またお子さんも唾がたまらないので楽です。)
デンタルフロスをやっている場合はデンタルフロスもやって、赤い染色がきっちり取れているところをお子さんと一緒に見てみます。
そしてこれは余談ですが、子供は歯とはの間が比較的広く、ものが挟まりやすいので、糸ようじやデンタルフロスなどで大きい食べかすが取れてくることがあります。これも唾液と同じくティッシュで拭き取るといちいち歯ブラシが中断せず、子供の集中力も切れずよいかと思います。
仕上げ磨きの時には「歯ブラシ 糸ようじ(またはデンタルフロス) ティッシュ」を揃えてから来るようにと子供に伝えておくと良いでしょう。
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その後洗面台で口をゆすいで、寝る前の水分補給が必要な場合はします。その後フッ素洗口液などをするのであればそれをして終了です。
このように書くと非常に面倒に感じるかもしれないが、やってみると大したことはありません。
仕事でも勉強でも運動でもそうだと思いますが、「可視化」というものは大きな効果があると思います。
とは言え、上の奥歯なんかは染めたとしても、まず普通の方法では見えません。「見えたところでどう磨いていいのかわからない」そのようなところのアドバイスは私たちがお力になれると思います。どの程度磨けているのか、適切な道具、磨き方の提案などいたします。
積極的に使っていくなら1日1回夜の使用、ブラシができているかのチェックであれば週末夜などに使用してもいいかもしれません。
色素が具体的に何を使っているのかや、洗面台や服についたらどうするかなど
「よくある質問」には役に立つ情報が詰まっていますので一度目を通してみてください。
(とてもよくある質問については「松風」さんHPより引用させていただきます)
(引用ここから)
Q1.歯科医院専用の「ハミガキ上手PRO」と市販品の「ハミガキ上手」との違いは?
A1.
・キシリトールを配合しております。
(キシリトールには歯の脱灰を抑制する効果が報告されております。)
・グリチルリチン酸ジカリウムを配合しております。
(グリチルリチン酸ジカリウムには抗炎症作用があり、歯肉炎を予防し、グルカン生成抑制により歯垢の形成を抑える効果が報告されております。)
・歯垢染出し効果をUPさせております。
(引用ここまで)