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「すてきなあなたに」ー『暮しの手帖』と歯の話

[2025.05.07]

「すてきなあなたに」は、私のオリジナルのタイトルではありません。

1969年から連載が続く『暮しの手帖』誌の人気エッセイです。『暮しの手帖』は、1948(昭和23)年9月に、健康をささえる「食」と、家庭を守る「住」をとり入れ、『美しい暮しの手帖』が元となっているそうです。

この雑誌は大橋鎭子さんと花森安治さんによって創刊されました。広告を載せない雑誌として有名で、どこかで聞いたことがあるという方もいらっしゃるでしょうし、大橋鎭子さんの半生をNHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で主演の高畑充希さんが演じています。

「すてきなあなたに」のエッセイでは「実際に目でみて素敵だと思ったこと、人と接している時に感じた素敵なこと、心に深く染み込んでいったこと、食事の時に美味しかったものとそのレシピなど、日常の生活で感じて、メモに書き留めたものを綴っています」と公式サイトにありました。

私自身は、本屋で立ち読みしたり、買って読んだりと昔から『暮しの手帖』にご縁はありましたが「すてきなあなたに」というエッセイは恥ずかしながら知りませんでした。全く何を読んでいたんだか……と、自分で突っ込みたくなりました(笑)

同タイトルのエッセイ集が出ていてレビューも良かったので買って読んでみました。その中にまさに「すてきなあなたに」という項があったのです。これが本のタイトルやエッセイのコーナーの元にもなっている記事か、何が書いてあるんだろうと心躍らせて読んでみると、なんと歯に関する記事でした。

ここに記事を丸ごと引用してしまうとよろしくありませんので、ざっと要約しますと「大橋鎭子さんが、ちょっとしたことから長く海外生活をしているご高齢の男性と知り合うことになった。そのご高齢の男性は大橋さんのことを孫のように思ったのか、歯の大事さ、特に前歯の大事さを繰り返し話していた」という話です。

実際はもっと味わいの深い文章です。こう書いてしまうと身も蓋もない感じで、せっかくエッセイの魅力をあらかた奪い去ってしまっているような気がしますが、もしよろしければご購入の上、本編をお読みください。

想像するに、このご高齢の男性は、海外生活で歯についての苦労が多かったのでしょうか。現在から見れば当時の口腔衛生はそれほどではなかったでしょうし、海外だと歯科治療の費用面、また歯科の当時の技術の限界の話などもあったのかもしれません。それで「歯を大切にしなさい」と、現代であれば余計なお世話と捉えられてしまいそうなところを老婆心ながらという気持ちで大橋さんに伝えたのだと想像します。本当に大切だと信じているなら、もしかしたら気分を害するかなと思っても伝えますよね。

エッセイの中のご高齢の男性が活躍なさっていた当時と違い、現在では海外留学や仕事で海外に何年か行くことなど当たり前のようになってきました。歯科については日本と海外ではシステム(健康保険)の違いが大きすぎるので、海外に行くときには入念に口腔内の状態を確認しておくことは周知されているように感じます。といっても、最近では割と世界のどこへ行っても「度々日本には帰ってくるからそのときにチェックして」とお伺いすることも多いのですが。

エッセイの中の男性が繰り返した前歯の重要性は時代、国、性別問わず強調しすぎることはないでしょう。「前歯は無い方がいいよ」という人は限りなくゼロに近いと思います。このエッセイでの示唆を現代に活かすとすれば、海外に行くときには口腔内のチェックを入念に、海外にいつでも行けるように毎日の予防をしっかりと、ということでしょう。一口に予防と言ってもこの人はむし歯に気をつけた方が良いのか、歯周病に気をつけた方が良いのか、力のコントロールは必須なのか等々、その人それぞれで重点を置くべきポイントは違います(ケアのしかたも違います)。ぜひ、かかりつけの医院で、毎日の予防で重点を置くべきポイントを聞いてみてください。

(文章中の説明は適宜、公式サイトより引用しています)

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