「口管強」について
当院は国の施設基準「口腔管理体制強化加算(口管強)」の届出医院です
「こうくうかんりたいせいきょうかかさん」——なんとも堅苦しい名前ですが、実はこれ、患者さんにとって意味のある制度です。「名前は覚えなくていいので、中身だけ知って帰ってください」という気持ちで、できるだけやさしくご説明します。
ひとことで言うと
「むし歯や歯周病になってから治す」のではなく、「ならないように・悪くならないように、一生を通じて支える」体制が整っていると、国(厚生労働省)に認められた歯科医院のことです。
この基準を満たすには、スタッフの配置や研修の受講だけでなく、「実際に予防管理や口の機能の管理を継続して行っている実績」「内科などの医科と連携している実績」まで求められます。手を挙げれば取れるものではなく、日々の診療の積み重ねが審査される仕組みです。
患者さんにとってのメリット
1. 予防のための通院を、保険で続けやすくなります
歯周病の治療が一段落したあとの「安定した状態を保つためのケア(専門的なクリーニングや検査を含む継続管理)」を、お口の状態に応じて**短い間隔——必要なら毎月でも——保険診療で**受けていただけます。一般の歯科医院では原則3か月に1回程度の間隔となるところ、この施設基準の届出医院では、より手厚い間隔での管理が保険で認められています。
また、削らずに経過を見ながら管理する**初期のむし歯**や、年齢とともに増える**歯の根元のむし歯**についても、フッ素塗布を含めた継続的な管理を保険で行うことができます。
歯周病もむし歯も、「治して終わり」にすると数年で元に戻ってしまうことが、多くの研究で示されています。逆に、定期的な専門的ケアを続けた方は歯を失う本数が明らかに少ないことも分かっています。**通い続けやすい保険の仕組みがあること**は、そのまま「歯を残せる可能性」につながります。
2. お子さんの「お口の育ち」を見守れます
食べる・飲み込む・話す・呼吸する——こうしたお口の機能は、生まれつき備わっているのではなく、成長の中で獲得していくものです。「食べるのが遅い」「口がいつも開いている」「発音が気になる」といったサインは、**口腔機能発達不全症**として、検査にもとづいた管理・トレーニングの対象になります。
当院ではこの検査と継続管理を保険診療で行う体制を整えており、それがこの施設基準の要件のひとつにもなっています。
3. 大人の「お口の衰え(オーラルフレイル)」に早く気づけます
「硬いものが噛みにくくなった」「食事中にむせる」「口が乾く」——加齢にともなうお口の機能の低下は、放っておくと食事の偏りや低栄養、全身の衰えにつながることが指摘されています。
当院では、舌の力や噛む力などを測る検査機器を用いて、**口腔機能低下症**の検査・診断・管理を保険で行っています。数値で「見える化」できるので、ご自身の変化に早く気づき、対策を始められます。
4. 全身の健康と、お口の健康をつないで診ます
歯周病と糖尿病が互いに影響し合うことは、よく知られるようになりました。この施設基準の届出医院には、内科などの主治医の先生と情報をやりとりしながら診療する体制**が求められており、当院でも、持病をお持ちの方については必要に応じて主治医と連携し、全身の状態をふまえた安全な歯科治療を行っています。
「お薬手帳を見せてください」「最近の血液検査の結果はいかがでしたか」とお聞きするのは、このためです。
必ず知っておきたいこと(誤解のないように)
ひとつだけ、誤解のないように。
保険での定期管理は、「希望すれば誰でも毎月クリーニングが受けられる」という制度ではありません。検査にもとづいて診断をつけ、管理計画を立てたうえで行う、医療としての継続管理です。ですから当院では、定期的な検査を大切にしています。少し手間に感じられるかもしれませんが、この「検査→説明→ケア」の積み重ねこそが、この制度の本来の趣旨であり、歯を長く残すための最も確かな道筋だと考えています。
さいごに
この施設基準の正式名称にある「口腔管理体制」とは、要するに「あなたのお口を、子どもの頃から年を重ねたあとまで、責任をもって管理し続ける体制」のことです。
むし歯や歯周病の治療はもちろんですが、「今は特に困っていない」という方にこそ、この体制を活かした定期管理をおすすめします。気になることがあれば、どうぞお気軽にスタッフまでお声がけください。
